なるほど労働契約法 全21条と裁判例の解説

解雇、労働条件の変更、就業規則の変更、有期労働契約の更新・雇止め等のトラブルを防止するために、労働契約法の各条文について、社会保険労務士が会話形式で分かりやすく解説いたします。

労働契約法は、次のとおり21条で構成された法律です。

令和8年1月1日時点で、令和2年4月1日施行の直近の法改正に対応しています。なお、第20条の同一労働同一賃金の規定は重要事項ですので、あえて残しています。

労働契約法(全21条の構成)

第1章 総則

第2章 労働契約の成立及び変更

第3章 労働契約の継続及び終了

第4章 期間の定めのある労働契約

第5章 雑則

労働契約法の成立

労働契約法の成立の経緯

賃金、労働時間、休日、休暇等の労働条件の最低基準を定めた法律として労働基準法が定められています。しかし、近年は、解雇や賃下げなど、労働基準法では対応できないトラブルが増加しています。

このようなトラブルは最終的には裁判所の判断に委ねられますが、過去の裁判例の積み重ねによって、例えば、解雇が有効か無効かを判断するルール(「判例法理」と言います)が確立しているものがあります。

裁判所は判例法理に当てはめて判決を下しますが、判例法理は一般の従業員や経営者には余り知られていません。

そこで、判例法理を法律として整理して明らかにすることによって、労使間のトラブルを未然に防止することを目的として、労働契約法が制定されました。

労働契約法の成立による企業への影響

労働契約法は判例法理を整理したものですので、労働契約法が成立したとしても、裁判所の判断はこれまでと同じです。

また、労働契約法は労使の個別の合意を原則としている性質上、労働基準法のような罰則は定められていません。企業が労働契約法に違反していても、労働基準監督署から指導や是正勧告を受けることはありません。

しかし、法律として判例法理が明らかになることによって、従業員側から見ると法律違反を指摘しやすくなります。したがって、企業としては今まで以上に慎重な対応が求められます。

労働契約法から漏れた裁判例

現行の労働契約法で定められているのは、以上のとおり全部で21条です。しかし、労働関係の判例法理はこれだけではありません。

労働契約法を制定する際に検討されたけれども見送られた内容がいくつかあります。その当時、労働契約法の成立を最優先にしたため、小さく生んで大きく育てようという話があったようです。

以下では、法制化が見送られたけれども、判例法理として一般化されている内容及び裁判例を紹介しています。

どれも労働関係で無視できない内容で、将来、労働契約法に追加される可能性があります。これを知っていれば、更に労働契約法の知識が深まります。


執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。